日本人は冠詞の使い分けをあまり意識しません。
何故なら冠詞の言い間違いがネイティブにとってどのように聞こえるのかが分からない為、a(an) でも the でもそれほど意味は変わらないだろうと考えるからです。
しかし、a(an) と theを言い間違えただけで意味が大きく変わってくるのです。このことを理解した上で冠詞の使い分けについてしっかりマスターしましょう。
a と an のどちらかなのか
a か an のどちらを使うべきかの区別は簡単です。基本は母音で始まる単語には an を、子音で始まる単語には a を付けます。
an old chair, an American, an elephant
a planet, a small cottage, a computer
しかし、ここで1つだけ注意しなければならないことがあります。頭ごなしに母音の場合は an、子音の場合は a と覚えないことです。
実は単語のスペルが母音で始まるか子音で始まるかではなく、その発音が母音か子音かなのです。
a university(大学) → 単語のスペルは母音 u で始まるが u の発音は母音ではなく子音である。an university は間違い。
an SMS(ショートメッセージ) → 単語のスペルは子音 S で始まるが S の発音は子音ではなく母音である。a SMS は間違い。
a(an) と theのどちらなのか
さて問題なのが a(an) と the の使い分けです。基本的にはある特定の物を指す場合は the を、一般的な物を指す場合は a(an) を使うと覚えておけば良いでしょう。
I have a notebook.
ノートパソコンをもっています。
There was an office before.
以前、事務所がありました。
My watch is missing. So I'm looking for it. Here it is! This is the watch.
腕時計が無くなった。だから探しているんです。あった。これがその腕時計です。
具体的に指し示している物がはっきりしている(特定できる)場合は the を用います。では次の例を見てみましょう。
いづれも意味合い的には「私はイルカが好きだ」という意味です。
1)I like a dolphin.
2)I like the dolphin.
3)I like dolphins.
いづれの文も間違いではありません。ただそれぞれ相手に対して伝わり方が違ってきます。
一般的に「イルカという動物が好きだ」と言いたいなら3)です。1)でも問題はないのですが、1)は数多く存在するイルカのうちの一例のような意味合いを持ちます。
それに対して3)はイルカ全般を指します。2)は the がついているので特定のイルカを指します。
「今目の前で泳いでいるイルカ」や、「テレビで見たあのイルカ」など具体的にどのイルカなのかがはっきりしているわけです。
では次に「私にはボーイフレンドがいます」という日本語を英作してみます。
1)I have a boy friend.
2)I have the boy friend.
3)I have boy friends.
「ボーイフレンド」というのはその人にとって一般的な人ではなく特定することができます。このように考えると特定できる2)が正しいような気がします。
しかし一般的には1)が最もよく使われます。1)だと自分のボーイフレンドなのに特定できていないと思われるかもしれません。
ですが一般的にボーイフレンドと呼ばれる人がいる、という意味で1)のように言うのです。3)だと複数のボーイフレンドが存在することになります。
冠詞が必要なのか必要ないのか
それでは色々なパターンの例文で冠詞が必要なのか不要なのか、必要なら a(an) なのか the なのか、さらに詳しく見ていきましょう。
食べ物を無駄にするなんて罪深いことだ。
It's ( a / the / なし ) crime to waste ( a / the / なし )food.
crime と food という2つの名詞が登場します。「食べ物を無駄にする」ということが、数多くある罪の中の1つなのです。従って crime には冠詞 a が必要です。
一方、food は「食べ物」という一般的には数えられない名詞です。従って冠詞は付きません。
It's a crime to waste food. が正解です。
( An / The / なし ) English alphabet has 26 letters.
英語のアルファベットは26文字あります。
English alphabet という名詞の場合はどうでしょうか。これは「英語のアルファベット」という世の中に複数存在しない固有のものです。
1つしか存在しないものには the が付きます。
The English alphabet has 26 letters. が正解となります。
輸血の前には絶対に患者の血液型を鑑定しなければならない。
It's absolutely necessary to type ( a / the / なし ) patient's blood before ( a / the / なし ) blood transfusion.
まず、patient's の方ですが「患者」自体は一般的な患者を指しているわけではないので a を付けるのでは、と考えがちです。
しかし patient's blood「患者の血液型」は、その患者にとっては固有の血液型ということになります。従って patient's blood の前には the が付きます。
blood transfusion 「輸血」ですが、血液型の鑑定が必要なのは何も特定の輸血に限ったことではありません。従って blood transfucion の前には a が付きます。
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