受身
「A は B をする」という形の文が「B は A によってされる」という形に書き換えられた文を受動態と呼びます。 一方受動態にする前の通常の文は能動態と呼ばれます。それではさっそく具体例を見てみましょう。次の文はごく一般的な英文です。

My colleague stole my billfold.
同僚が私の財布を盗んだ。

上の文を「私の財布」を主語にして文を組み変えてみると、「私の財布は同僚によって盗まれた」となります。

My billfold was stolen by my colleague.

受動態の作り方は、主語 + be動詞 + 過去分詞 です。「〜によって」の部分は前置詞 by で表します。もちろん by 以外のものがくる場合もあります。 さて、ここでオリジナルの文と受動態にした文を比較してみましょう。

My colleague stole my billfold.
My billfold was stolen by my colleague.

訳し方こそ異なりますが意味としては同じです。日本語ではどちらの文も使われます。 特に財布を盗まれた側の人にとっては被害意識が強い為、「盗まれた」と受動態の方を多く使います。 しかし英語においては、行為を行った側を主語にした文が使われます。対象物(人)を主語にしてわざわざ受動態の表現を使いません。 英語では必要ない限り基本的に「誰が何をした」ということを主語 + 述語を順に並べて言います。

The criminal was arrested by the police yesterday.
犯人は昨日警察に逮捕された。

The police arrested the criminal yesterday.
警察は昨日犯人を逮捕した。

A lion eats meat.
ライオンは肉を食べる。

Meat is eaten by a lion.
肉はライオンによって食べられる。

上の2つの例文では英語においては受動態より能動態の方が使われます。受動態の文も正しいのですが能動的に表現するのが普通です。 特に2つめの例文では受動態はまず使われません。それではどのような時に受動態が使われるのか見ていきましょう。

受動態の用い方
She was born in Paris in 1990.
彼女は1990年パリで生まれた。

「生まれた」という表現は、be(過去形)+ born という決まりきった言い方をします。born は bear(生む)という動詞の過去分詞です。

Wine is made from grapes.
ワインはぶどうから造られる。

これは受動態でしか表現できません。能動態の文章では「ぶどうはワインを造る」となってしまい、これは誤った言い方です。 ワインを製造するのはあくまでも人間です。また、材料からものができあがる場合は by(〜によって)ではなく from(〜から)を使います。

Were you satisfied with the concert?
あなたはコサートに満足しましたか。

be satified with 〜 で「〜に満足する」という意味です。前置詞は with を使います。

English and Spanish are spoken in America.
アメリカでは英語とスペイン語が話されています。

言語が使われていることを表現する場合も受動態を用います。 特定の人によってではなく、一般的に利用されているものについても能動態での表現は困難です。

Hamlet was written by Shakespeare.
ハムレットはシェークスピアによって書かれた。(ハムレットはシェークスピアの作品である。)

これは能動態の文にもできますが、小説や書物など作品を誰が残したかを表現する場合は受動態を用いるのが一般的です。 しかし、「私は手紙を書いた」のような文の場合は、The letter was written by me. と受動態にはしません。(間違いではない) I wrote the letter. と能動態で書くのが普通です。

Arround the top of Mount Kilimanjaro is covered with snow.
キリマンジャロの山頂付近は雪で覆われている。

「〜に覆われている」という表現は be covered with 〜 で表されこれも受動態で書きます。 逆に覆っているものを主語として能動態で表現することはあまりありません。

これらの他にも受動態になる例を以下に挙げます。過去分詞によって後に続く前置詞も様々です。

be surprised at 〜 → 〜に驚く
be pleased with 〜 → 〜に喜ぶ
be separated by 〜 → 〜によって分けられている、分離されている
be based on 〜 → 〜に基づいている
be involved in 〜 → 〜にかかわっている、巻き込まれている
be related to 〜 → 〜に関係している
be composed of 〜 → 〜から構成される
be well informed about 〜 → 〜の情報に精通している


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